永谷宗円生家（宇治田原町）

　　
永谷宗円の生家が宇治田原町にあります。永谷宗円って？という方には、永谷園のルーツ、という方がわかりやすいですね。
そう、あのお茶づけ海苔の永谷園の「永谷」さんなのです。
（※5月3日撮影）




シャガが満開の斜面を眺めつつ歩くと・・・茶宗明神社が見えてきます。

ここに隣接するのが、永谷宗円生家。永谷宗円さんは、1681年生まれ。茶業や農地改良に勤しむかたわらで、15年の歳月をかけて1738年に青製煎茶製法を開発。世に広めたお方です。この生家は日本遺産に認定されているそうです。昭和35年の再建。この焙炉（ほいろ）が保存されているのが日本遺産認定の大きな理由でしょう。煎茶の文化がここから生み出されたわけです。現在はガス式の焙炉が使われています。といっても、こちらが使われるのは5月上旬の新茶まつりの頃。でも、現在の煎茶製造の工場では、この焙炉の上で行っていた、粗揉・揉捻・中揉・精揉、といった手もみ製法の過程が再現された機器がつかわれているそうです。和紙が貼られた焙炉。傷んだところには新しい和紙が貼られています。ここに柿渋を何度も塗って、まわりと同じこげ茶色になるそうです。中はこんなふうに（係の方がわざわざ開けてみせてくださいました）下から弱熱で加熱しつつ、和紙を張った焙炉の上で茶葉を揉み、煎茶を製造します。そんな永谷宗円さん、宇治田原の山奥で編み出した青製煎茶製法の真価を問うべく、江戸へ向かいます。当初は理解されず、売り込みは難航を極めたそうです。ただ一人、この青製煎茶製法による緑色の茶の価値を見出した人がいました。山本嘉兵衛。ご存知「山本山」の四世嘉兵衛さんです。当時、道元禅師が伝えた、乾燥した茶葉（黒茶）にお湯を注いでいれる「淹茶法」による茶色のお茶が主流でした。（緑のお茶といえば抹茶）
青製煎茶製法による煎茶は、お湯を注ぐと緑色で、味も香りもよいお茶になります。この緑のお茶が「流行る！」と見込んだ山本嘉兵衛は、その価値を認め、小判3枚で買い取ったうえで、翌年の購入も約束したのだそうです。永谷宗円の煎茶に「天下一」と名付けて江戸で売り出した山本屋。これがバズって大ヒットとなり、永谷宗円の青製煎茶製法（宇治製法）も全国へ広まるきっかけとなりました。そんな山本山との御縁の証を、隣接の茶宗明神社に見つけました。さすが！永谷園本舗が一千万円寄付したという碑が立っていました。お気づきでしょうか。社殿にお参りして、降りようとしたところ、石段の左右に「永谷園」と「山本山」の文字が。山本屋（後の山本山）も、「天下一」の大ヒットがきっかけで莫大な利益をあげ、家の隆興に繋がったことに感謝し、お礼として永谷家に毎年小判25両を明治八年（1875年）まで贈り続けたという記録が残っているそうです。
現在も続く、永谷園と山本山。こんなつながりがあったのだと驚きと感心を覚えた宇治田原町・永谷宗円生家でした。
そしてなんと、今日5月17日は「お茶漬けの日」。永谷宗円のお命日にちなんで、日本記念日協会に登録・制定されているそうです。
今日は永谷園のお茶づけ、食べてみてはいかがでしょうか(^^)