先笄・青葉の頃(上七軒 勝奈さん)
2017年 05月 23日
上七軒の勝奈さんは襟替えをされ、舞妓から地方(じかた)さんになられました。
勝奈さん、おめでとうございます。
襟替えの数日前に、先笄(さっこう)を結われた勝奈さんを撮影する機会をいただきました。
舞妓さんとしての最後の姿、お届けします。
しょうざん庭園・湧泉閣にて。
翌年の上七軒盆踊りが勝奈さんを撮影した最初でした。
その勝奈さんがもう先笄。感慨深いものがあります。
すっかり大人の女性になられましたね。
何とも複雑そうにみえますが、玉簪の上にある、べっ甲の笄(こうがい)に、
八の字を描くように髪を結わえ、橋の毛を後ろへ垂らします。
江戸後期、新妻や若妻の間で流行した髪型だそうです。
笄を引き抜くと、はらりと解ける・・・そんな艶っぽいお話も。
この先笄を結って、これもまた舞妓最後の舞として「黒髪」を舞う。
切ない恋の唄なんですよね。
舞妓さんの卒業の儀式といったところでしょうか。
精進が良いのでしょう。雨もホントに嘘のようにあがってくれました。
雨で現れた青葉が眩しい庭園へ。
ぜひ一枚一枚の見つめる先を一緒にご覧ください。
いつも笑顔が愛らしい勝奈さんですが、舞の時は本当に憂いを少し含んだ、切ない表情なんです。
その舞で、時折見せる遠くを見つめるような眼差しが好きでした。
立ち方(舞をする役)ではなく、その舞や舞台、お座敷を盛り上げる楽器の奏者を地方と言います。
主にはお三味線でしょうか。
凛とした目が見つめる先には、もう目指すべき自らの姿があるのでしょう。
これだけでも艶っぽい。
この5年間、彼女が磨き続けてきた大切なものを見せていただいている気がしました。
ふんわりした流し目。大人の女性になられましたね。
今、確たる自分を胸に抱いて次のステップへ。
雨上がりで、玉砂利もしっとり。絵になる光景でした。
見とれますね。
能面を手に。
そう思ってやみません。
花街・上七軒に新たなスター地方さんの誕生。お慶び申し上げます。
地方・勝奈さんのご活躍をお祈りいたします。