若冲生誕300年記念・錦市場「ナイトミュージアム」
2016年 10月 19日
10月4日からは京都市美術館で「生誕300年 若冲の京都 KYOTOの若冲」が行われています。
そして、ここ「京都の台所」錦市場でも、こんな面白いイベントが行われています。
閉店後のシャッターが若冲の作品に!ナイトミュージアム、お楽しみください。
高倉通と錦小路通の交差点をこんな呼び方をする京都。
ここが錦市場の入口です。
イベントを盛り上げるタペストリーがかかっていますね。
この「樹花鳥獣図屏風」もその一つ。
精緻な筆跡はもちろんのこと、そのカラフルさに驚かされます。
江戸時代の作品とは思えない斬新さですよね。
こうやってお店を閉めると、美術館が現れるという試み、個人的にナイスアイデア賞!です。
水墨画による「群鶏図押絵貼屏風」の様々な鶏たちが現れました。
一つ一つポーズが違い、生き生きとした鶏の様子が描かれています。
羽の模様や形の細かさ!若冲の観察眼に唸らされます。
こちらは「竹虎図」。鹿苑寺(金閣寺)所蔵の虎の図です。
思わず「この虎を捕まえてくれ」「ではお殿様、捕まえますので屏風から虎を追い出してください」
の一休さんのエピソードはこの絵がヒント?と思っちゃったりしますね。時代は全然違いますが(笑)
水墨画もいいけど、彩色されると本当に動き出しそうなくらい活き活きとしています。
虎の筋肉の付き方や手足の大きさなど、見事に再現していますね。
若冲ファン、多いんですね~。
閉店後の商店街がこれだけ賑わうというのは、この企画大成功ですよ(^-^)
若冲は鶏だけじゃなく、様々な鶏を描いています。
精悍な鷲、今にも飛び立ちそうな緊張感を感じられる水墨画です。
襖絵を上手にシャッターに転写しています。ホントに襖みたい(^-^)
このお店のシャッター、イベントが終わってもこのままがいいなぁ(笑)
めっちゃ似合ってますよね。
鷲と似ている鷹。でも、きっちり特徴を捉えています。
松の枝ぶりも見事な水墨画。鷹がこちらをギロリとにらみます。
若冲が観察し、絵にしたのは動物だけではなく、日頃身近にあった青物。
この「菜蟲譜」は様々な野菜や果物が登場する「図鑑」なんです。
こちらは細やかな筆致で葡萄の蔓が渦巻く様子や葉っぱの葉脈などが精密に描かれた作品。
何と中央の大根を横たわるお釈迦様に見立て、いわゆる「涅槃図」を野菜と果物だけで表した作品です。
この一枚に60種類以上の野菜・果物が登場しています。独特の世界観ですね。
遠くに霞む霧をまとった山々、そして灯籠の陰影など、気が遠くなるような数の「点々」を用いて表現しています。
覆いかぶさってくるような芭蕉の葉を大胆に表現した水墨画。
中央上部右には満月が描かれています。
こちらはあっさりとした筆致ですが、これがまたいきいきと見えるんだから不思議です。
「鯉魚図」。鯉の半身を屏風に描き、下部には波と波しぶき。
半分しか体を描かないことで、かえって躍動感がでてきますね。
おめでたい竹と梅。そこに二羽の丹頂鶴をあしらいました。
ナイトミュージアムのお楽しみ、スクリーン投影です。
ドドン!と出た鶏の視線にビックリ(笑)
スクリーンごとに違いました。面白いなぁ~。
薄墨で9mm角の桝目をビッシリと描き、その方眼をの中に更に四角を書き入れたものを下地として、
そこから淡彩を用いて動物たちを描き入れていくという特殊技法。
若冲はこの技法を西陣織の模様から着想して編み出したと言われています。
これだけのバージョンの鶏を描きつくすことはできないでしょうね。
真贋論争のあるいわくつき作品ですね。
桝目描きの手法が他の作品と異なり、また筆致も疑わしいとする学説です。
若冲要素は多分にあると思うんですがね~。
群鶏図の一部分です。
もちろん錦市場はいわゆるシャッター街ではありません。活気あふれる京都の台所です。
そんな商店街が店じまいの後にこんなミュージアムに大変身!とは何とも洒落ているではないですかね。
思わず2~3往復して楽しんでしまった、「錦市場・ナイトミュージアム」でした。