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花景色-K.W.C. PhotoBlog

京都・奈良を中心に、花と緑や紅葉の景色、そして時々舞妓さんを撮影しています


by Katsu

祇園祭2016 前祭の会所巡り

  
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宵山はスゴイ人出だったようですね。
私は宵山の朝から会所巡りに出かけました。

鉾は置いておいて、山、傘を全て回ってきました。
山鉾巡行順にお届けいたします。



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2016年の祇園祭。
前祭の先頭の長刀鉾に続く、山一番を引き当てたのは山伏山でした。


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何と24年ぶりとのこと。会所の人たちもうれしそうでした。
古い見送りなどの懸装品を見学した後・・・


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この会所では茅の輪くぐりができるんです。


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会所の二階にはこうやってご神体人形が飾られています。
この御方は浄蔵貴所。法観寺八坂の塔が傾いたとき、法力でそれを立て直したという伝説があります。
その浄蔵が大峯山に修行に入る時の姿を表しています。

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山弐番は白楽天山。
こちらにかけてあるのは、本飾用の懸装品。
宵山までにかけてあるのは、言わば普段着。こちらがよそ行きの一張羅というわけです。


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白楽天と道林禅師がご神体人形です。
「諸悪莫作衆善奉行」の故事にちなみます。一休寺にも石碑がある禅の教えですね。


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山三番の孟宗山。


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こちらの懸装品はとてもエキゾチック。
月夜を行くラクダと・・・


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灼熱の砂漠を行くラクダ。
平山郁夫画伯の作品で「砂漠らくだ行(月)と、砂漠らくだ行(日)」です。


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こちらのご神体はめっちゃ笑顔!
冬に筍を欲しがった病気の母のため、雪まみれになりながら神に祈り、筍を掘り当てた会心の笑みです。
確かに手に持つ鍬も筍も雪まみれですね。
別名、筍のさと、じゃない(笑)、筍山とも呼ばれます。


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函谷鉾を挟んで、その次を行く山四番、太子山。
聖徳太子を祀った山です。


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簾の隙間から、そっとお顔を覗かせてもらいました。


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お次は四条傘鉾です。
子どもによるくじ改めが人気ですね。
本番も頑張って!


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山五番、占出山。
水引の「三十六歌仙図」は柿本人麻呂から中務までの36人の歌人が刺繍されています。
その下は前懸と胴懸。日本三景です。
左から天橋立、安芸の宮島、松島です。


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こちらのご神体は神功皇后様。
ある意味、祇園祭・山鉾巡行のテーマではメインなお方です。


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お顔が垣間見えました。
神功皇后は、新羅出兵の折に肥前国(九州西部)の松浦川で鮎を釣って戦勝を占ったと言われ、
そのことから占出山は別名「鮎釣山」とも呼ばれます。


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見送りも含め、海の光景ばかりです。
神功皇后が海を征くイメージがあるからでしょうか。
この御方、実は結構な超人伝説をお持ちです。それはまた後ほど。


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月鉾を挟んで、山六番の芦刈山。


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大和物語の「芦刈」がテーマ。
貧しさ故に妻にも見捨てられ、寂しく芦を刈る老人。確かに寂しそうな表情です。


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見送り、とてもやわらかい色調で好きなんですよね~。
山口華楊の「鶴図」を綴織で再現したものです。


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胴懸は尾形光琳の燕子花図。
中央に飾ってある小袖は、織田信長から下賜されたものと言われ、重要文化財なんです。
「綾地締切蝶牡丹文片身替小袖」と書いてありました。
こういうお宝をさらっと飾ってくれている会所の心意気、素敵です。


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山七番は蟷螂山。その名の通りカマキリさんの山です。


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懸装品はとってもプリティ。
鴛鴦がいっぱいです。


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こちらもカラフルな胴懸。
京友禅で染め抜かれた「瑞祥鶴浴図」です。


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折り紙で作られた可愛らしいカマキリさんも飾られていました。


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この山は唯一からくり人形が乗ります。
このカマキリさん、巡行当日は御所車の中に人形師さんが乗り込み、
羽を広げたり、カマをもたげたり、首を傾げたり、と観衆を楽しませてくれます。


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山八番は保昌山です。


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こちらのご神体人形は平井保昌。
恋する和泉式部のために紫宸殿に忍び込み、紅梅を手折ってくるというロマンチスト。


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確かに恋する男の目をしているような(^-^)。
このロマンチスト、ちゃんと和泉式部を妻にしたというから素敵です。
というわけで、こちらの会所では縁結び、恋愛成就のお守りや絵馬が人気です。


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鶏鉾を挟んで、山九番は伯牙山。


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こちらの懸装品の中にはお琴が含まれています。


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ご神体人形は琴の名人であったという伯牙。
友人であり、彼の音楽の最大の理解者であった鐘子期の死の報に触れ、
斧を持って琴の弦を断ち、その後は生涯演奏をしなかったという故事にちなみます。
怒りと悲しみが綯い交ぜになった表情が印象的です。


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お次は綾傘鉾。
天女の描かれた傘が素敵です。
先日の記事で特集した「棒振おどり」が巡行途中で数回披露されます。


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その棒振り踊り、お囃子をする方々の衣装と面です。
中央の軸の絵にあるとおり、昔は車をつけた曳山であった時代がありました。
禁門の変による火災で消失したのですが、昭和54年に復活しました。


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傘鉾の頭に乗る鶏のご神体。
右足で金の卵を握っています。


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右奥には曳山だった頃のミニチュアが。
こうやって見ると、曳山姿も見てみたかったなぁと思いますね。


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山十番は霰天神山です。
昔、京の町を火災が襲った際、あられが降って火を弱めてくれたそうで、
その際に降ってきた天神像をお祀りしているのだとか。
実際、禁門の変を経ても焼けておらず、火除天神とも言われています。


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こちらの懸装品はベルギー・ブリュッセルで作られた毛綴で、ギリシャ神話「イーリアス」を題材としたもの。
平成21年に復元新調されました。
古くからある祇園祭にギリシャ神話の絵が飾られているなんて、不思議な御縁ですね。


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菊水鉾を挟んで、山十一番は木賊山。
会所の説明役のお父さん、中へ入ってお撮りなさい、と大サービスしてくれました(^-^)


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ご神体人形に大接近。
このご老人、子どもを攫われて、独り木賊を刈りながら寂しく過ごしている姿。


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ホントに寂しそうな表情。
仏師春日の作と伝えられます。


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懸装品のこの鯉、イキイキしていますね。
目玉はガラスが嵌めこまれていました。


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山十二番は郭巨山。
こちら、会所の間口が狭く、祭壇の向こうにご神体人形が設置されています。
郭巨は貧しさのあまり、母か我が子を殺めることを決意。
子どもはまた授かることができるが、母はそうではない、ということで、
子どもを埋めようとして穴を掘ったところ、小判が出てきて助かった、というお話。
ん~、母を大切に、という儒教的なお話なんですが、子ども埋めちゃおうとするってね~(;´Д`)


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山十三番、油天神山。
油小路にあることからこの名前がついています。
鮮やかな梅の花を飾って巡行します。


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放下鉾を挟んで、山十四番の岩戸山。
この山はご神体人形が三体もあります。
榊と簾で見えにくいんですが、天照大神と手力男命、屋根の上に飾られる伊弉諾尊です。


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チラリ、手力男命さんが見えました。


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さて、山、傘だけを紹介してきたわけですが、最後に前祭の殿(しんがり)を務める船鉾をご紹介。
船の舳先には「檄を飛ばす」の語源にもなったという、想像上の瑞鳥「鷁(げき)」が乗ります。


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私の大好きな船鉾の楫。
螺鈿細工で飛龍が描かれています。


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彩りも素晴らしいんです。
本当に見事な細工。


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この船鉾、日本書紀の神功皇后の新羅出船にちなんでいます。
占出山の神功皇后は戦勝祈願で鮎を釣って占いをし、この船鉾で出陣したわけですね。
それ故、飾られるご神体人形は緋縅の軍装なのです。

しかも・・・この御方、出陣時に妊娠中だったという・・・。
そんなわけで、軍装の下には岩田帯を巻いておられるそうで。
この鉾では腹帯を安産のお守りとして売っておられます。

船鉾で新羅に渡った神功皇后、戦勝凱旋してお戻りになるのが後祭の殿、大船鉾というわけです。

一昨年の大船鉾の復活、とても意味のあるものだったのですね。
祇園祭の物語、会所巡りに事寄せてまとめてみました。

さぁ、本日は巡行。お天気が持ちますように。
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by kwc_photo | 2016-07-17 07:00 | 京都(Kyoto) | Trackback