重森三玲の庭シリーズ・重森三玲旧宅の庭(重森三玲庭園美術館)
2012年 06月 18日
(※6月6日撮影)
でも、門のむこうをのぞくと・・・。
斜めに走るラインのデザインに、重森三玲テイストを見つけました。
この砂利も、青い石が敷き詰められているんです。
14時の開門が待ち遠しく思えました。
苔は毎日3回水やりしているのだそうで、このお天気でも青々としていました。
たしかに、どの石を欠いてもバランスが崩れる絶妙の配置。
あじさいの花を水引で吊り下げてあります。魔除けなのだとか。
曲線を描く苔と敷石は陸、白砂は海を表し、この庭に理想郷を描いていた三玲。
1970年にこのお庭を完成させた三玲は、この縁側から理想郷を厭かず眺めていたのでしょうね。
通せんぼの意味だけじゃありません。茶室へ正しく誘うための道標なのだと、館長の重森三明さんが教えて下さいました。
静物により動きを表したこの表現で、静かな庭に音が生まれます。
ほら、せせらぎの音が聞こえてきませんか?
書院と並び、国の登録文化財となっています。
つまり、三玲はこの茶室からの眺めを計算して庭の設計をしたことになります。
お部屋の外から撮らせて頂きます。
なんとも粋な、市松模様の波が大胆に描かれた襖。
明かりの八角シェードは、重森三玲デザイン。
釘隠しの陶器には、自身で絵付けをしています。
さらには、襖の取っ手。「無」「字」「三」「玲」の文字が彫られています。
このお部屋は、重森三玲が手ずから作り上げた、まさに「自分の部屋」。
棚の上の物入れにも、三玲が描いた襖絵が。
敷石の配置、そして、東福寺の方丈庭園でも見かける、柱石も登場。
修学院離宮の「網干の欄干」にも似た、斜めの欄干や、半円形の明かり窓。
さすが、自分の家だけあって、極まっていますね~。
ベンガラで紅に色付けしたコンクリが乾かないうちに、三玲が竹箒で掃き跡で模様付けしたのです。
三玲が自分自身のために作ったお庭。その奥義の粋を極めた、凝縮感のある素敵なお庭でした。
京都にはあと、「龍吟庵」(東福寺塔頭)のお庭があるのですが、現在非公開。
また秋の特別公開時に訪れて、重森三玲の庭シリーズ・京都編を完成させたいと思います。