先笄(祇園甲部 実佳子さん)
2017年 10月 25日
10月24日、めでたく襟替えをされ、芸妓になられた祇園甲部の実佳子さん。
その舞妓姿最後の時を過ごす「先笄」のお姿を撮影させていただく機会をいただきました。
本当に美しい実佳子さんの最後の舞妓姿、ご覧ください。
そこにおられるだけで雰囲気が一変。なんと華やかなことでしょう・・・
地髪で結う舞妓最後の髪型、先笄。
花簪にはおめでたい鶴が飛び、宝船があしらわれていました。
先笄の時にはお歯黒を塗るので、あまり歯を見せて笑えません。
それがまた、美しさを引き立てる笑みになるのかもしれませんね。
舞妓生活の集大成がここに極まっています。
正装の黒紋付。襟足は三本足です。
さばき橋と呼ばれる髷を縦断する橋の毛が特徴的。
笄を引き抜くとハラリと解ける髪型だそうです。
やっぱり少しさみしおす。
「時が経つのは早いね」とお声がけした際の実佳子さんのお答えでした。
それは我々もやっぱり寂しいんです。おめでたいけど寂しい。とても複雑な心境です。
この後、これまた舞妓最後の舞となる「黒髪」を舞っていただきました。
黒髪の特徴的な仕草は、この座るシーン。
情念を感じさせる艶のある舞なのです。
神々しいまでの凛々しさが実佳子さんの舞に宿っていました。
この日のためにあつらえた黒紋付は何とも豪華な牡丹の柄でした。
本当によく通る、素敵な唄声。そして染み入る音色の三味線。ありがとうございました。
フッと笑顔になってくれると、いつもの実佳子さんに。
こんな風に出迎えてもらったら、それだけでドキッとしちゃいますね。
透き通るような、そんな美しさを感じました。
そんな瞬間に立ち会えて幸せです。
明治期の古ガラスに映るのは、芸妓となった未来でしょうか。
舞妓姿の実佳子さんを脳裏に焼き付けて・・・
実佳子さん、本当におめでとうございます。
心新たに芸妓として歩み始める芸の道、実佳子さんの未来に光あれ。